ことしも9月になってもまだまだ暑いようです。8月は暑い日が続き、西日本の方々は台風で大変な思いをされました。心よりお見舞いを申し上げます。また、参議院議員選挙では、ALSの方と重度障害者の方が当選され、議員活動を始められました。これは画期的なことで、日本の立法機関に2人の重度障害者の方が加わることは、共生社会の象徴であり私にとってはとてもうれしいことです。
それでは一般質問を始めます。
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1、身体障害者中心のグループホームについて
6月定例会での部長の答弁は、「設置の意向を示された事業者につきましては、当初の計画よりおくれ、開設予定地を含め検討している状況であると聞いております。開設の時期につきましては、事業者からの明言はないため、早期に開設できるよう今後も調整を進めてまいります。」及び「現時点では、事業者から辞退の意思が示されていないため、引き続き調整を進めていきながら、あわせて他の事業者への呼びかけも行ってまいりたいと考えております。」ということでした。しかし、意向があった事業者では、だめになったので、他の事業者から見つけようかとお聞きしております。この経緯とこれからの展望についてお聞かせください。
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
身体障害者中心のグループホームについての御質問でございます。6月定例会以降、それまで設置の意向を示していた事業者から、鎌倉市内での身体障害者を中心としたグループホームの設置については断念するとの回答がございました。その結果を受け、再度市内の事業者に身体障害者中心のグループホームの設置について打診を行いましたが、設置は難しいとの回答でございます。今後は、市外で身体障害者のグループホームを設置している事業者などに鎌倉市内での設置意向を確認していこうと考えているところでございます。
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(千一の再質問)
今年度も6カ月ちょっとになりました。いまだに事業者が見つかっていない状況とは困りました。事業者が法人でなければだめなのですか。横浜などでは報酬を法人格を持っていない障害者のグループが自分たちで家を借り、横浜市からの助成によって家をバリアフリー化したり世話人を雇ったりして自分たち中心で運営しているグループホームもあります。そういうことはできないものでしょうか。
(小礒一彦 副市長の答弁)
グループホームに関するお尋ねでございます。横浜市の制度でございますが、横浜市社会福祉協議会の役員ですとか、入居者の代表など、7人以上で構成をする運営委員会によりグループホームを設置する制度であると伺っております。市といたしましては、現在、市外の法人にグループホーム設置の意向を確認しておりますので、それを行うとともに議員御提案の横浜市の設置方法につきましても並行して検討してまいりたいと考えております。
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2、いじめについて
いじめといっても大人同士の上下関係とか学校のクラス内での上下関係など陰険ないじめ、またメールやLINE内でのいじめ、さらには、いじりなど多種多様です。大人の社会でもインターネットやSNSによる誹謗中傷やヘイトスピーチなどが問題となっています。さらに今はテレビなどでいじられキャラが横行しておりますが、それを実際に子供たちの中で使うようなことが多くあると聞きます。しかしながら、いじられキャラを演じることによってグループ内から孤立、排除されるのを恐れて無理していることが多いそうです。テレビの役柄でいじられキャラをやるのは構いませんが、学校の子供たちでそのようなことがあるのなら、それは大変な問題だと思います。学校のクラス内でもいじったり、いじられたりする関係によるいじめはありますか。また、どのような解決策があるか教えてください。さらにメディアでも報道されましたが、山口県周南市の高校で男子生徒が同級生からのいじめに加え、教師のいじりによって自殺した痛ましい事件もありました。そして他市でのことですが、ある中学校の教室のすぐ横に道路があり、特に1階の教室の窓からは道路がよく見えるのです。私の知り合いの方は、その方が近くの中学校の横の道を通ると必ず大勢の生徒から一斉に「おはようございます。」「こんにちは。」と声がかかりました。初めは気になりませんでしたが、その後いつも声がかかるようになったということでした。しかも、前に人が歩いても、その方の後に人が歩いても無反応、その方のときだけと気づいたそうです。身に覚えはというと、ほかの人から若干歩き方がおかしいとよく言われていることです。これが原因でからかわれていたに違いないと感じ、悲しく悔しい思いをしたそうです。教師は、もし知っていたとしても挨拶をしているのだから、からかいとは思われず、むしろ感心したのだと思われます。到底許すことはできません。あくまでも他市の事例ですが、鎌倉市の児童・生徒から校内及び校外でこのようなからかいをされたら、どうすればいいのでしょうか。そして以上の事件や事例について、どのような対策をとられるのか教えてください。
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(佐々木聡 教育部長の答弁)
いじめについてでございます。学校におけるいじったり、いじめられたりという関係によるいじめはあるかという御質問でございます。子供同士の関係の中で、ふざけやからかいなどがあり、いじめにつながっていることもございます。教職員が授業中だけではなく休み時間も使って子供たちとよく会話をし、情報を得ながら家庭と連携し早期発見・早期対応することで解決をしてまいっております。
次に、からかいと思われる行為をされたときに、どのように対応すればという御質問でございます。学校では、日ごろより思いやりがあり、友達を大切にする人間性豊かな子供たちを育てております。そういった中ではありますが、子供たちの行動がからかいなどのように捉えられることがあれば、その場で注意をしていただくことがよいと思いますが、学校や教育委員会に連絡していただければ対応をしてまいりたいと考えております。
次に、今後いじめへの対策をどのようにしていくのかの御質問でございます。いじめは、いじめを受けた人の心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与える行為であり、絶対に許されるものではないことです。いじめの未然防止、早期発見・早期対応に取り組むため、教職員一人ひとりがいじめの定義を正しく理解し、1人の教職員が抱え込むことなく、学校全体で情報を共有し組織的に対応できるよう取り組んでまいります。また、日ごろから道徳科を中心とした学校教育全体を通して多様性を認め合い、自他を尊重するなどの人権教育に引き続き努めてまいります。
続いて、ひきこもりに関する御質問でございます。まず、ひきこもり状態なのは何人いるのかの御質問でございます。教育委員会では、年間の欠席日数が30日以上の児童・生徒について調査をしております。ひきこもりについては、さまざまなケースがあることから、なかなか把握するのは難しい状況でございます。平成29年度の調査では、鎌倉市立小・中学校に在籍する児童・生徒のうち不登校児童・生徒が小学校で53名、中学校で109名でございました。
続いて、それに対する対策、どのような対策をしているのかの御質問でございます。子供によって状況が違うので、今、学校は個に応じて対応をしております。必ずしも登校を促すわけではございませんけれども、積極的にかかわり合いを持つようにしております。学校では、個々の状況に応じてスクールカウンセラーなどの心理士、福祉や医療の専門機関などと必要な体制を整備して支援策を検討しているところでございます。例えば家庭訪問のタイミングや声がけの内容、家族に対しての助言などの支援を誰がいつ行うかなどを具体的に検討してるところでございます。教育支援教室ひだまりでは、学校に行くのが難しい子供の居場所として少人数の集団での支援を行っており、またフリースクール等とも連携をとりながら将来への自立と社会とのかかわりが持てるように支援をしておるところでございます。
続いて、休みがちな子供に対する対策の御質問です。学校では、早期発見・早期対応を心がけ、子供に不安な様子が見られた場合には積極的に声をかけ、落ちついて相談ができる環境をつくっております。登校渋りなど欠席が続く場合、担任は電話連絡や家庭訪問を行い、本人や家族と直接話をする時間を設けております。また、心理の専門家であるスクールカウンセラーや教育相談員が本人、保護者の話を聞き不安や悩みに寄り添う相談体制をつくっているところでございます。
(千一の再質問)
おととい鎌倉市内の中学校の文化祭に行ってきました。そのとき校長先生にお聞きしたら、不登校の生徒が多くいるそうです。そして、いじめはネットによるものが多いそうです。今はSNSが多いようですが、子供用のある程度制限をかけたスマホはできないものでしょうか。昔は、いじめといったらけんかをして体が傷ついて終わりましたが、今は陰険で心が傷つくことが割と多いと思います。いかがですか。
(安良岡靖史 教育長の答弁)
いじめにかかわる部分で、いじめはネットによるものが多い、SNSが多いので、子供用のある程度制限をかけたスマートフォンの使い方というような御質問でございます。
子供たちのトラブルの中で、やはりスマートフォンにかかわる、利用によるトラブルというものがあるわけですけれども、スマートフォンによるトラブルというのは、わかるまでに時間がかかってしまう、そういうところが課題かと思います。現在も、なかなかこれも状況を把握する中で子供たちの指導をしていますが、やはりわかってから、わかるまでにかなり拡大をしてしまうということもあります。そういう中で、中学校では企業あるいは警察が行っております携帯電話安全教室、あるいは警察が行う講演会、そういうところですね、生徒が安全に使うこと等の講習会をしているところでございますが、保護者に向けて一緒に制限をかけたスマートフォンの利用というものの講座も開催しておりますので、そういう中で保護者に向けても一緒に注意喚起の取り組みをしているところでございます。いずれにしても、やはり情報モラル、あるいは情報リテラシー、そういうものを子供たちがしっかり身につけていく中で、情報活用能力を身につけた鎌倉の子供たちを育てていくということが大切だと思っております。
もう一つ、いじめの中で心が傷つくことが多いのではないかと、今のいじめは心が傷つくことが多いのではないかということでございます。先ほど部長が答弁したように、やはり思いやりがあり、友達を大切にする人間性豊かな子供たちを育てていくということが大切だと思っています。そのことによって、お互い認め合い、そして助け合うことができる、そんな子供たちができると思います。そのような中で、中学校ではスクールバディの活動をしているところでございます。このスクールバディの活動を通して、いじめのない学校づくりを子供たちみずからの活動を通して、そしてその活動の中で、嫌な思いをした子供たちが自分のSOSを出しやすくして、そして友達と一緒に活動できる、こういうような子供たちの声でいじめをなくそうと呼びかけること、こういうことを子供たち自身もいじめについて自分ごととして捉えることができる、そんな学校づくりになっていくことを、今取り組んでいるところでございます。 |
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3、ひきこもりについて
ひきこもりは子供、大人ともに重大な社会問題になっています。子供は、もともとアスペルガーやADHDなどの発達障害や学習障害であったところに、学業の問題、同級生や教師との問題、進路の問題などが追い打ちをかける、あるいはこれらの問題の根が深いため発達障害や学習障害などがなかったとしても精神的に追い詰められて不登校に陥り、そのまま引きこもってしまうことが多いようです。一方、大人は、特に80・50問題がいわれています。これは不登校をそのまま引きずるか、学校では特に問題がなかったとしても就職活動でつまずくか、就職できても仕事や人間関係の問題で退職に追い込まれ、引きこもってしまいそのまま年をとってしまった結果です。一方、親も同じく年をとるわけなので、親が80代なら子供が50代になっていることが多いので、80・50問題といわれているそうです。メディアでも報道されたことですが、40歳から64歳でひきこもり状態の方は、全国に61万3000人いるそうです。ことしの3月に内閣府による初の全国推計で明らかになったそうです。そして親子で餓死している事件、事務次官まで務めた方が息子さんの将来を悲観して殺害をした事件も起きています。これらに共通しているのは、周りに相談できる方がいなかったというように社会的に孤立していたということです。子供の場合、鎌倉市にはひきこもり状態なのは何人ぐらいいますか。そして、このような子供たちに対してどのような対策をしていますか。さらに、ひきこもりとまではいきませんが、休みがちな子供に対しての対策も教えてください。一方、大人でひきこもり状態の方についても鎌倉市には何人ぐらいいますか。そして、その対策はどのようにしているか教えてください。
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
大人でひきこもりの状態の方は、市には何人ぐらいいるかの質問でございます。大人のひきこもりに関しても、本市独自の調査を行っていないため、実態の把握はできていない状況でございます。議員御紹介の生活状況に関する調査の結果が、ことし3月に内閣府から発表されましたが、その中で広義のひきこもり群の出現率は1.45%であり、満40歳から満64歳までのひきこもりの方は全国で約61.3万人存在するとの推計値が示されたところでございます。この広義のひきこもり群には、ふだんは家にいるが自分の趣味に関する用事のときだけ外出する方も含まれるなど幅広く捉えた調査ではございますが、仮に国と同様のこの手法で推計値を算出すれば本市において満40歳から満64歳までのひきこもりの方は920人程度存在すると推計されます。
(平井あかね こどもみらい部長の答弁)
大人のひきこもりの対策についての御質問です。ひきこもりに関する意見交換などを行うことを目的に、平成28年度に庁内関係課と地域活動団体とで構成されるひきこもりに関する連絡会を設置しまして、情報や課題の共有、講演会の開催などを行っております。平成30年度は鎌倉市ひきこもり支援マップを作成し、市内相談窓口などの周知を行いました。また、3月にはひきこもり経験者の方と支援者による講演会を開催したところです。平成31年4月に福祉総合相談窓口が開設されたほか、引き続き生活福祉課、商工課でもひきこもりの相談に対応しております。また、神奈川県のひきこもり相談窓口、かながわ子ども・若者総合相談センターとの連携を進めているところです。
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4、刑務所しか居場所のない人について
ことしも、社会を明るくする運動が7月3日に、鎌倉市の場合、鎌倉芸術館で行われました。この運動は全国的規模のものであり、昭和26年に初めて行われて以来毎年行われ、ことしで69回目だそうです。この運動の趣旨は、罪を犯して刑に服し刑期を終えて出所したときに優しく受け入れて二度と罪を犯すことのないようにサポートしていくものです。しかし、以前にNHKのEテレの「バリバラ」という番組で、罪を繰り返す方のことを取り上げていました。また、最近同様の内容のものを書籍で知る機会がありました。書籍にあったある男性の例では、刑に服し出所しましたが、住むところも生活費もなく、さらに生活していくだけのサポートもないため、ホームレスにならざるを得ませんでした。そこで、昔、母親と神社に初詣でに行ったときのことを思い出したそうです。そのとき母親が、さい銭箱の中に1,000円を入れた後、息子さんであるその男性に「神様にお金を預けているんだよ、困ったときに助けてくれるからね」と言ったそうです。現実に、どうにもしようがない状態で、男性にしてみれば困っているので神様が助けてくれるのでお金を返してもらうという感覚で罪の意識は全くない様子でした。男性の逮捕のいきさつは、初めに200円をさい銭箱から盗んで逮捕され刑に服し、出所してすぐ100円を、またさい銭箱から盗んで再度逮捕ということでした。2回目の逮捕後の裁判で、男性はきっぱりと、「まだ700円神様に貸している」と言ったそうです。やはり罪の意識はない様子でした。刑務所には、この男性のように軽度の障害の方や高齢の方が多いそうです。場所は、あくまでも刑務所ですが、刑に服している方々の状態は、サポートが必要な方が多く、半ば福祉施設と化した状態だそうです。しかも一度ならず出所しても何度も罪を繰り返して刑務所へ舞い戻る方すらいるそうです。これは刑を終えて出所した方に対する行政の怠慢の結果だと思います。つまり罪を犯した方を福祉につなげていくことができていないことが原因です。鎌倉市の場合は、高齢の方や障害のある方で相談に行けない方や相談することを知らない方が刑を終え出所したとき、住居、生活費、その他福祉制度はどのようになっているのかお聞かせください。 |
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
刑務所しか居場所のない人についての御質問でございます。出所した方のうち、仮釈放などで保護観察の対象となる方や罪を犯す前から福祉制度を利用していた方については、出所後も適切な福祉サービスの利用につながることとなりますが、中には支援体制が確保されないまま出所し、社会復帰を果たす上で困難な状況に陥る方も存在していることを認識しているところでございます。国においては福祉サービスを受ける必要があるものの、釈放後の行き場のない人への対策として、平成21年4月から地域生活定着促進事業を実施し、都道府県に設置された地域生活定着支援センターが釈放後速やかに必要な福祉サービスを利用できるよう収監中から関係機関との調整を行っております。本市でもこの取り組みにより福祉サービスや生活保護などの福祉サービスを活用し、安定した生活環境を確保できている例もあることから、今後も国や県と連携して適切な福祉サービスの提供を行うとともに先進市の取り組みについても研究してまいります。
(千一の再質問)
刑務所が福祉施設化していることは、大変困ったものです。刑務所に入ることが一番簡単ではないかと思います。福祉サービスを行政から受けるには、手続が大変です。刑務所に入るのは、コンビニで100円のパンを万引きしても自動的に刑務所に入ることができます。おかしいようですが、これが現実です。何とか刑務所でなく福祉施設をつくってもらいたいものです。いかがですか。
(松尾崇 市長の答弁)
刑務所ではなく福祉施設をつくってもらいたいという御質問についてです。出所者のうち、頼るべき人がいないなどの理由で、帰るべき場所がない人たちに対しては、国において更生保護施設を運営をしているところです。市としては、出所者が安定した生活環境を確保することは必要であるということから、更生保護施設などと連携しながら適切な福祉サービスが提供できるよう努めてまいりたいと考えます。 |