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やまゆり園の事件から7月26日で1年
やまゆり園の戦後最悪とも言われ、世界中をかけめぐった事件から7月26日で1年になり、神奈川県知事を初め、神奈川県下の市町村長は追悼式に行かれたと聞いております。松尾市長はここで何を考え、また改めて何を感じてきたのかを聞かせてください。この痛ましい事件に対して、改めて19人の方の御冥福とけがを負われた方や精神的に病んでいる方々に深くお見舞い申し上げます。この事件の加害者である植松聖被告はいまだにこの事件を肯定しているそうで、まさにそのときのヒトラー的なものでどんな理由を述べても許されるものではありません。
またこの事件はいろいろな角度から見ることができます。一つにはその施設が山奥にあり、それだけでもおかしいのに、指定管理になる前は職員も割とその地域の方が多くいて、また食材料一つとってもその地域から仕入れるという温かみのある交流がもたらされていました。しかし指定管理になると、人的にも食材料にも採算性ばかり考えられるようになりました。このような福祉の世界にまで郵政民営化の議論は要らないのです。いかがですか。
また被害者の氏名を公表しないのもおかしなことだと思います。これは優生思想の一つのあらわれだと思います。市長は御自身の娘さんが被害に遭われた場合、氏名を公表するとおっしゃいました。このような優生思想についてどうお考えですか。
そして今、黒岩知事はやまゆり園の再建に関して小規模にして再建の意向のようですが、本人の意向ではなく家族会など周りの意向で決められているように思います。もっと一人一人の意思を尊重してほしいと思います。いかがですか。
そして何回も言うようですが、介護体制や看護体制が整っていれば、どんな障害を持った方でも御自身にとってよりよい生き方ができると思います。いかがですか。
そしてこの事件は鎌倉市民だけでなく、世界中の方にも障害者が生きるということを通していろいろな問題提起をしてくれました。この事件を忘れることなく、また再認識していきたいと思います。いかがですか。
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(松尾崇 市長の答弁)
7月24日に津久井やまゆり園で事件でお亡くなりになられた方々の追悼式に参列をしました。改めて今回障害がある方、その御家族の尊厳というものが一方的に否定をされるというこういう事件の凄惨さということを思い出しながら、二度とこうした事件が起きてはならない、そういう思いをしたところでございます。 |
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
福祉の世界に郵政民営化の理論である指定管理制度は要らないのではないかという質問でございます。
福祉分野におきましても指定管理者制度は利用者の多様なニーズを民間のノウハウを活用し、より効果的・効率的に対応することで利用者にとってサービスの向上になると考えているところでございます。
本市の障害福祉における指定管理施設は、社会福祉法人により運営されていることから利用者からの評判も高く、専門性を要する障害特性に応じた支援が図られており、指定管理者制度の導入は一定の成果を得られているものと考えているところでございます。今後も指定管理者に対しましては、適正な職員採用、人事管理とあわせ、職員の研修や資質向上に向けた取り組みの充実を求めることで利用者が安心して利用できる施設運営を図ってまいります。
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(松尾崇 市長の答弁)
優生思想の考え方でございます。
障害者基本法でも、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を築いていくということを理念としているというところでございます。私としましても優生思想という考え方を取り入れるということは全く考えていないところでございます。しかしながらそれを感じるような場面というのが現代社会の至る場面であるという御指摘であろうと思います。こうした思想に至らないような教育ということにも十分力を入れていく必要があると考えます。 |
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
津久井やまゆり園の再生に関して神奈川県は一人一人の意思を尊重してほしいと思うがいかがかについての御質問でございます。
津久井やまゆり園の再建に当たっては、当然利用者一人一人の意思が尊重されるべきであると考えているところでございます。神奈川県は再建に向け、「津久井やまゆり園事件再発防止対策・再生本部」を設置して協議を行い、平成29年8月に津久井やまゆり園再生基本構想策定案をまとめたところでございます。策定に至るまでいろいろな議論を得る中で、家族会や障害者団体、有識者などの意見を聞いていると認識しているところでございます。この策定案では今後の生活の場の選択に当たって、可能な限り本人がみずから意思決定できるよう支援する意思決定支援の仕組みを取り入れているとされていることから、利用者一人一人の意思が反映されるものと考えているところでございます。
続きまして、介護体制・看護体制が整っていればどんな障害を持った方でもよりよい生き方ができると思うがいかがかについての質問でございます。
障害者の方が御自宅やグループホームで生活していく上で、介護体制・看護体制を整えることについては医療的ケアを含む24時間の支援体制など課題が多くあるところでございますが、安心・安全な環境や体制が整備されればよりよい生活・よりよい生き方ができる可能性が広がるものと考えております。
現在次期障害者福祉計画の策定を進めるところでございますので、障害のある方が地域でよりよく生きるため、介護・看護体制の整備などの地域生活への支援策について検討をしてまいります。
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(松尾崇 市長の答弁)
やまゆり園のこの事件ですけれども、障害者の方への差別や偏見、また優生思想、こういう問題が改めて浮き彫りになった本当に大きな事件であるということでございます。このことを決して忘れることなく、私たちが改めてこの事件について考え、そしてこれからのあるべき社会の姿ということを提示をしていくということが必要であろうと思っています。
神奈川県では「ともに生きる社会かながわ憲章」というものを策定をしたところでございますけれども、鎌倉市としましてもこれに連動する形でさまざまな市内でのイベント等でもこの考え方ということを起用するということに協力をさせていただいているところです。それを基本にしながらさまざま教育の場面等でも教育委員会等とも連携しながら、こうした考え方ということの普及に努めてまいりたいと思います。 |
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LGBTで悩む方に対する鎌倉市としての対応について
この間、御自身が男性でも女性でもないという認識した第三の性の持ち主で周りの方たちがそれに対応してくれないという悩みをお持ちの方がいらしてくださいました。体と心の性が違う方は子供のころから2%以上おられるそうです。以前私のボランティアをしてくださった方の中にもLGBTのGの方がいらっしゃいました。その方が打ち明けてくださいました。親や家族などにも言えず、ひとり悩んでいたとのことでした。小学校の高学年から中学生に対し、そのような子供たちにはどのような教育をしていますか。
そしてインクルーシブ教育の原点からいって、性的少数者に対する教育はどのように行っていますか。
またLGBTで悩んでいる成人の方にはどう対処していますか。
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(佐藤尚之 教育部長の答弁)
性的少数者に対する教育につきましての御質問でございます。
学校では子供たち一人一人の個性を受け入れて何でも相談できる教師との関係づくりに努めまして、子供たちが違いも個性と考え、認め合う人間関係づくりを大切にする教育に取り組んでいるところでございます。
LGBTにつきましては、本人が理解していなかったり言い出せなかったりということもございまして、その実態把握は極めて難しいところでございますが、こうしたことから教員向けの研修会を積極的に行い、啓発を進め、児童・生徒の悩みや変化を早期発見し把握できるよう努めているところでございます。
またポスター等の掲示により、相談窓口の案内をしているところであります。
LGBTの児童・生徒に対しては文部科学省が作成をいたしましたガイドラインがございます。この中には具体的に服装、更衣室、トイレ、宿泊等について個々の状況に応じてきめ細やかな対応ができるよう示されてございます。本人から相談があったときには本人の気持ちに寄り添って支援していくところでございます。
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(比留間彰 経営企画部長の答弁)
LGBTで悩んでいる成人の方への対応についての御質問です。
現在性的マイノリティーで悩まれている成人の方々への相談については、人権擁護委員による人権相談や女性相談で受付・対応するとともに、全国共通の相談専用ダイヤルを御紹介することとしておりますが、本市におきましてはこれまで成人の方の性的マイノリティーの御相談を受けたという実績はございません。このため今後相談窓口の周知などを行うことにより、より相談を受けやすい体制をつくっていきたいと考えております。
なお市では性的マイノリティーの方々への理解を深めるために、市民の方々、職員、さらには教職員への講演会等の開催など啓発活動にも努めているところでございます。
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(答弁に対する千一の再質問)
LGBTにつきましても介護対策につきましても、同僚議員が言われていたように、高齢者の7割が家にいるというものにつながるものがあると思います。いかがですか。
LGBTについては大人になっても言いにくいのに、ましてや少年期や青年期には人に知られたくないという風潮が鎌倉市には多くあると思われます。そういう風潮をなくし、誰もが当たり前のごとく捉えられる社会にしていきたいものです。いかがですか。
そのためにどういうことをしたらよいと思われますか。
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(安良岡靖史 教育長の答弁)
LGBTの方の中で、大人になっても家に引きこもってしまう方が多いという中では、学齢期の教育や啓発が大切であるというふうに考えております。そうしますと子供を指導する先生の研修というものもこれから教育委員会でも取り組んでまいりたいと考えております。
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(松尾崇 市長の答弁)
性的マイノリティーという考え方というんでしょうか、認知が余りされてこなかったと思います。そういうことからしますと成人の方、特に高齢者の方々はそうした悩みを一人で抱え込んで結果的に御指摘のように引きこもるような要因にもつながっているということもあるんだろうと思います。これまで市では相談窓口ですとか相談しやすい体制づくりというのを取り組んできているところではありますが、より一層、教育委員会とも連携をしながらこうした相談窓口の体制ということを推進してまいりたいと考えます。
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(安良岡靖史 教育長の答弁)
少年期や青年期の子供たち、知られたくないという思いがあるという中で学校での取り組みということでございます。
LGBTで悩んでいる子供へは、早い段階からの支援が大切であると考えております。学校では子供の変化をいち早く発見し、そして早い段階から相談や支援ができる体制づくりと、お互いの違いを認め合える人間関係づくりに今後も取り組んでまいりたいと考えております。
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神奈川県下で下から3番目に少ない特別支援学級について
県下の市町村の小・中学校で特別支援学級設置率は鎌倉市は68%でこれより少ないのは50%である藤沢市と茅ヶ崎市だけです。その中でも肢体不自由が含まれるのは御成小学校と御成中学校だけです。6月定例会の私の一般質問に対して教育部長はエレベーターの設置につきましては学校施設のバリアフリー化を推進する上で重要な設備であると認識してございます。これまでにも学校の建てかえ時などの時期を捉えまして、エレベーターを設置してきたところでございます。学校の建てかえの際には法令に基づき、エレベーター設置を含めたバリアフリー化に関する設備を行うとともに、既存の学校につきましても車椅子など合理的配慮を要する児童・生徒の入学に合わせましてエレベーターの設置に取り組んでまいりますとありますが、既存の学校では玉縄中学校が五、六年前にエレベーターが設置されたのが最後ですよね。いかがですか。
それはそれとして、下から3番目に少ない設置率とはお寒い限りです。いかがですか。 |
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(佐藤尚之 教育部長の答弁)
現在進めてございます後期実施計画期間中におきましては、学校施設にエレベーターを設置する予定はございません。これまで学校建てかえの際や合理的な配慮を必要とする児童・生徒の入学等に合わせましてエレベーターの設置に取り組んできたところでございます。エレベーターは学校施設のバリアフリー化を推進する上で重要な設備であると認識してございまして、設置校につきましてもしっかりと時期を捉えて整備していきたいと考えてございます。
次に特別支援学級の設置率が低いという関連の御質問でございます。
障害のあるなしにかかわらず子供たちが地域でともに学ぶインクルーシブ教育の観点から特別支援級の全校設置に向けて取り組んでいるところであります。今年度は植木小学校に開設をいたしまして、来年度は腰越中学校に開設するための準備を進めているところであります。今後とも地域の状況やニーズに応じまして全校設置に向けて取り組んでまいります。
肢体不自由児の特別支援学級についての御質問でございます。
現在肢体不自由児学級は小学校は御成小学校、中学校は御成中学校に設置されております。この2校には拠点校として肢体不自由児童・生徒の安全を確保するための施設整備が整っているところであります。現在特別支援学級の全校設置に向けて進めているところでありまして、今後は各学校のバリアフリー化を図っていくこととあわせて、肢体不自由児学級の設置のニーズに応じまして検討してまいります。
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(答弁に対する千一の再質問)
御成小・中学校のほかにどこの学校から肢体不自由者の子供が行ける特別支援学級をつくる計画ですか。
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(佐藤尚之 教育部長の答弁)
肢体不自由児の支援級の計画の御質問でございます。
肢体不自由児の支援級の入級等につきましては、入学前に対象児童の情報をあおぞら園からの報告を受け、早い段階から保護者との相談を始めてございます。こうした相談の中で現在設置している御成小学校あるいは御成中学校が拠点校になっていること、肢体不自由児童・生徒の安全を確保するための施設整備が整っていることなどをお伝えしているところでございます。今後御成小学校・御成中学校以外の支援級の開設等につきましては、こうした希望が出る場合には、それぞれのお子さんのニーズや現状を踏まえて必要に応じて調整してまいります。
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介護対策について
障害者の介護対策につきましては、資料から見ますと平成27年の居宅介護の実績は1人当たり平均月に22時間、1日に換算しますと1時間にも満たない44分というおかしな結果になっております。現に考えられることは必要な方に必要なだけのヘルパーさんの手が回っていないということです。
居宅の方の家族が本人も含めて余り市役所に頼みにくることを知らないで置き去りにされたまま、困ったと思いながらもそのままにやむを得ずになっているのではないかと思われます。
また以前にも述べましたが、重度訪問介護の計画といい、居宅介護の計画といい、何とも恥ずかしい限りです。横浜市では2人介護で1日24時間体制をとっている方もいるというのに、何と情けないことでしょう。
私の知り合いで鎌倉市に住む肢体不自由の方からメールが来ました。親も年老いて自分の介護をするのが大変になってきているので、市長にメールをして施設をつくってほしいと何回も要望したのですがのらりくらりだったそうです。このようなことからも、市民に対しいろいろな制度があることを知っていただきたいと思います。いかがですか。
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
介護対策について市民に対し、いろいろな制度があることを知っていただきたいという質問でございます。
障害者手帳を取得された方への福祉制度の御案内につきましては、窓口で手帳を交付する際に説明を行っているところでございます。また障害者の家族や地域の方などからの身近な相談から支援につながることもあるため、市内12カ所の相談支援事業所を設けるなど相談支援のネットワーク強化を図っているところでございます。
障害者手帳を所持しながらも必要なサービスを受けていない方が支援につなげていくことについては課題であると認識をしているところでございます。障害者手帳所持者のうち、精神障害者など更新機会のある方についてはその都度、更新機会のない手帳を所持している方につきましては機会を捉えて改めて制度の案内をするなど、その方策について検討してまいりたいと考えております。
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(答弁に対する千一の再質問)
親亡き後にとっても最も大切なものだと思います。今、鎌倉市としてはどういう対策をとっていますか。いかがですか。
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(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
親亡き後の介護体制についてでございます。
親亡き後の生活の場の確保については大変重要であると考えております。その対策といたしましては、居宅介護などの在宅支援を行うとともに、グループホームの整備につきましては民間への支援などについて推進を図ってまいりたいと考えております。また判断能力のない方のための成年後見制度を推進し、権利擁護に努めてまいりたいと考えております。
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