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介護について
介護関係で一番卑劣きわまる事件としては、世界中を駆けめぐった、19人の障害者が殺害された津久井やまゆり園の事件です。
この事件の本質は、優生思想からのものです。そして、200人もの重度の障害者を山奥とも言えるところに隔離していること自体、非人間的な行為だと思います。
神奈川県では、この建物を建てかえようとしましたが、障害者団体や多くの重度の障害を持つ方、専門家の方などからハード面を新しくすればよいという考え方はおかしいと言われ、一定の期間、ヘルパーさんを入れたひとり暮らしがいいのか、グループホームの生活がいいのか、施設での生活がいいのか、それともヘルパーさんを入れた家族との生活がいいのかを体験していただき、当事者の意志で選択していただければ一番よいとの考えが多く出ました。それによって、黒岩知事も施設建てかえ計画を中断したとのことです。
2005年ぐらいから指定管理者制度が導入され、そのころから介護者の顔がかわるのが早くなり、喉に食べ物を詰まらせて窒息死したという事件も起こりました。
それでも県は指定管理者制度は、初めは6億1,000万円以上だったのが、指定管理者制度の第2期の2015年には3億7,000万円ぐらいまで減らされ、それによってサービスの質も年々低下していったということです。
家族の中には指定管理に反対する方が多くいたにもかかわらず、県は財政面からということでこれを強行突破したわけです。神奈川県も悪いし、それを許した神奈川県議会にも責任はあると思います。そして戦後最悪の殺傷事件にまでなったということです。
鎌倉市も福祉的なものまで最近は指定管理者制度にしています。
そしてもう一つは、重度訪問介護を含めて、介護給付費が国庫負担基準を超えた市町村に対して補助する国の制度があり、都道府県が国の制度を取り入れることによって、市町村に財政支援を行う制度があります。47都道府県のうち30以上の都道府県が取り入れています。これを取り入れることにより、国50%県25%市25%の財政で重度訪問介護ができるわけです。しかし、神奈川県はこれを取り入れていません。
関東では東京都、千葉県、茨城県、群馬県、埼玉県が取り入れており、ちなみに北海道、大阪府、京都府、沖縄県、近隣県では静岡県も取り入れております。都道府県で2番目の規模を持つ神奈川県が取り入れないことが不思議です。
以前、県の担当の課長にお会いしたときに、財政面でとお聞きしたこともあり、いろいろな理由をつけるが、やはり4分の1の負担をするのが嫌だということが見えてきました。
このようなことでは、神奈川県でひとり暮らしを地域でしたくても、ヘルパーさんを入れるにしても大変なことです。それは県が4分の1を負担しなければ、市が4分の1ではなく、全額を負担しなければならないということもあり得るからです。
そういう意味でも、神奈川県及び鎌倉市は介護行政にもっと力を入れ、神奈川県も鎌倉市も福祉的なものに指定管理者制度はやめて直営にしていただきたいものです。
やまゆり園を建てかえるには50億円から80億円の財源が必要だとお聞きしております。幾ら立派な建物を建てたとしても、それは障害者にとって有効的だとは思えません。重度の障害者が町なかで暮らすことが最もインクルーシブの社会だと思います。
ここで質問をいたします。①やまゆり園での指定管理は失敗したと思いますが、指定管理を鎌倉市としては、どうなさるおつもりですか。②高齢者介護、重度訪問介護を初めとする障害者の介護行政につきましては、鎌倉市としては、県に働きかけることを初めとして、どうなさるおつもりですか。③重度の障害者を含むグループホームをつくっていただきたいのですが、どうするおつもりですか。
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(進藤勝 こどもみらい部長の答弁)
まず、今後鎌倉市では、福祉施設等における指定管理をどのようにしていくかとの御質問でございます。まずは、子供関連施設についてお答えいたします。
こどもみらい部では、子育て支援センター及び一部の子ども会館・子どもの家を指定管理者による運営としております。
梶原子ども会館は、平成28年10月から指定管理者による運営としておりますが、現状を把握するために、市と定期的な打ち合わせを行っております。また、子ども会館・子どもの家の指定管理者選定における仕様書には、活動報告書等の提出だけではなく、市が主催する会議や研修会等へ参加することを定めております。
指定管理者による運営となった施設において、サービス等の低下が起きることがないよう、今後も努めてまいります。
(内海正彦 健康福祉部長の答弁)
健康福祉部で所管しております指定管理施設といたしましては、障害者の支援施設である鎌倉はまなみと高齢者のための施設である老人福祉センターがございます。
鎌倉はまなみにつきましては、利用者からの評価も高く、専門性を要する障害の特性に応じた支援が図られているところでございます。
老人福祉センターにつきましては、これまで施設の管理運営において特段の問題もなく、高齢者に対する健康増進と教養の向上が図られているところでございます。
今後も、指定管理者に対し適正な職員採用、人事管理とあわせ、職員の研修や資質向上に向けた取り組みの充実を求めることによりまして、利用者が安心して利用できる施設運営を図ってまいります。
続きまして、障害者の介護行政について、鎌倉市として県に働きかけることを初めとして、どのようにしているのかということについての御質問にお答えいたします。
障害者を対象とした重度訪問介護については、国の給付費に対する県の補助金制度創設を機会あるごとに神奈川県に要望をしているところでございます。障害者の介護につきましては、施設から地域生活への移行の方向性が国から示されており、必要とする人が地域で必要なサービスを受け、障害者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を目指してまいります。
高齢者の介護につきましては、団塊の世代が75歳を迎えます2025年問題に向け、介護度の低い人も、高い人も、本人が望む医療や介護のサービスを受けながら、住みなれた地域で暮らし続けられるための体制づくりを推進してまいります。
続きまして、重度の障害者を含むグループホーム設置をしていただきたいがいかがかについての御質問でございます。
障害者を対象としたグループホームの整備については、設置時の家屋改修費や備品購入費などに対する補助のほか、県の基準を超えて職員配置をし、重度の重複障害者を受け入れている事業所に対する補助を行っており、これらの制度を活用して、事業者によるグループホームの整備運営について支援を行っているところでございます。
市内に21カ所あるグループホームのうち、障害支援区分5以上の重度の障害者が利用しているグループホームは9カ所ございますが、身体障害者が利用できるグループホームは1カ所しかないなど、必ずしも充足しているとは考えてございません。
次期障害者福祉計画の改定においてニーズを把握し、障害のある方が地域で安心して生活していけるような社会を目指して、グループホーム等の事業所の整備を推進してまいります。
続きまして、ラファエル会の一連の事件への対応として、市として不正をただす場合にも、利用している方への影響がないようにしていただきたいがいかがかについての御質問でございます。
ラファエル会による宿直手当の問題については、労働基準監督署と調整しながら改善を図っているところであると聞いてございます。また、施設における事故については、神奈川県相模原市に必要な報告がなされており、現在は改善されていると聞いております。
当該法人は障害者総合支援法に基づき、神奈川県から事業所指定を受け提供しているサービスや、市が委託や補助を行って実施している事業など、さまざまな事業を実施していることから、関係機関と連携を図りながら利用者への影響が出ないように努めてまいります。 |
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(答弁に対する千一の再質問)
高齢者介護につきましては、介護保険の負担額を上げるとかで事実上その方の生活が苦しくなります。また、障害者の方で低所得者の方は65歳になると介護保険が優先するので1万5,000円の自己負担が発生してくるので、大変困って、これは憲法の理念からも外れるということで、きのうのNHKのEテレでも、某市を相手取り、訴えを起こしたとか聞きました。このような対策をどのように考えていくつもりですか。
また、19人のやまゆり園の殺害事件において、本人はもとより、その犯人を職員にした指定管理者の責任があり、指定管理者を選んだ神奈川県には大きな責任があると思います。もし、鎌倉市においてこのようなことが起こったら、どうなさるおつもりですか。
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(松尾崇 市長の答弁)
まず最初に、65歳未満の低所得の障害者、ヘルパー等のサービスを利用した場合に65歳に達して、介護保険のサービスを利用するということになる、自己負担が発生するおそれがあるという御質問です。
そのような方々からの訴えも多く、国では現在利用者負担が発生しないような仕組みの検討をしていると聞いています。その動きを見てまいりたいと考えております。
また、指定管理者に対しましての御質問です。
指定管理者に対しましては、職員を採用する際には十分その人物像を見きわめた上で採用するよう求めていきたいと思います。
また、採用された職員につきましても、研修などを通じて資質向上を行い、鎌倉でこのような事件が起きないよう努めてまいりたいと考えています。 |
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福祉行政について
小田原市では、生活保護を受けにくくするために、「保護なめんな」というジャンパーをつくり、事実上生活保護を受けにくくしました。また鎌倉市においては、一連の事件から生活保護を受ける側までイメージを悪くしました。また、ラファエル会においても、鎌倉市議会が取り上げている一連の事件が、利用者がつくっているクッキーまで売り上げが落ち、利用者の工賃にまで響いているということを話に聞きます。もちろん上層部の不正をただすことは大いにやってほしいのですが、そのように利用者の置かれている状況を考慮していただきたいと思います。いかがですか。
そして、災害時要援護者登録制度についてです。これは災害時、高齢者・障害者など自力で避難が困難な方たちを、鎌倉市及びその地域の方と協力し合い、助けようとする制度です。発足当初に比べて、現在はどういう状況になっているか教えてください。
そして、昨年4月には、障害者差別解消法が施行されましたが、鎌倉市としては、どのようなところでどのような変化がありましたか、教えてください。 |
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(柿崎雅之 防災安全部長の答弁)
災害時要援護者登録制度についてでございますが、本市における災害時要援護者登録制度は、千議員の一般質問を端緒といたしまして、平成14年度から開始をいたしまして、その後、平成25年の災害対策基本法の改正を受けまして、避難行動要支援者名簿の作成に取り組み、平成27年度に個人情報の地域への提供についての意向確認を実施いたしまして、同意した方、約8,400名の名簿を作成したところであります。
自治会、町内会に対しましては、平成28年10月に対象となる181団体に対して、名簿の受領について意向調査を実施しまして、本年1月末までに受領の意向を示した101団体に対しまして、延べ約5,400名分の名簿の提供が完了しているところでございます。
現在、名簿情報の活用方法について、各団体で検討が行われておりまして、先行しているところでは、対象者への戸別訪問等も行われているところでございます。
今後でございますが、各団体の取り組み事例の情報を広く共有いたしまして、地域の特性を踏まえた支援体制の構築を目指してまいりたいと考えております。
なお、公的機関であります警察組織に対しましては、平成28年10月に鎌倉・大船両警察署に全市分の同意者名簿を提供いたしました。また、民生委員児童委員協議会に対しても、平成28年12月に同じく全市分の名簿を提供したところでございます。
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(答弁に対する千一の再質問)
インクルーシブ教育、いじめのない教育などについて、どのようなことが重要か、大人になってからどう影響するように考えますか。
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(松尾崇 市長の答弁)
それから、インクルーシブ教育、いじめのない教育などについて、大人になってからどう影響するかという御質問です。
私の経験で言いますと、特に市議会議員になって、千議員とともに活動させていただいたということが、私が脳性麻痺という方の考え方、また接し方を大変学ばせていただいた、そういう大変貴重な機会になったと思っています。そういう観点からしますと、子供のころからそういう方々、もしくは多くの多様な方々と触れ合う、交流していくということが非常に重要であると考えます。大人になってから、そうした経験こそが影響していくものだと思います。
(安良岡靖史 教育長の答弁)
福祉行政に関連いたしましてインクルーシブ教育、いじめのない教育などについて、どのようなことが重要か、大人になってからどう影響するように考えますかという質問でございます。
やはり共生社会の実現を目指していく段階では、学校教育の中で子供たちをどう育てていくか、これが大変重要になっていると考えております。学校の生活の中で、お互いを認め合い、そして違っていていいんだよという、お互いがそういう思いの中で、みんなで協力して生活していく、そのようなことが大切だと思います。ただ、これは子供だけではなくて、保護者も含め、学校、そして地域が一体となって取り組んでいくことが学校教育の中でも求められていると思っております。
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