全国都市問題会議報告 |
今回出席した全国都市問題会議では、「まちのちからの活用」をテーマとして、市町村レベルの小規模自治体からの街づくりの、地域財政・福祉の充実化における重要性に着眼点を置いた議題が上げられました。小規模自治体による地元密着型の街づくりにより、住民の要望に直接的に対応できるきめの細かな行政サービスが可能となり、最終的に県、地方エリアの行政のサービス向上につながることになります。近年の傾向として、行政の中心が中央から末端へと移行しつつあり、中央依存傾向からの脱却が進みつつあります。そのなかで権限と財源の移譲が、ますます進展していくことが見込まれることから、市区町村レベルの行政の位置づけと、特色ある自治のあり方を再確認する機会となりました。
一日目の基調講演では、「まちのちからは景観から」という題で、現在国内で広く議論されている日本国土の州・ブロック化論を下地に、地方への分権化と、景観=地域性の重視とこうした地域ごとの特性に根ざした、合理的かつ、その地域らしさを重視した街づくりの必要性が説かれました。 また、主報告・一般報告として、札幌・新潟両市長から、市政に関する報告があり、旭川市旭山動物園の小菅正夫氏からは、市町村運営の公的施設の経営に関する具体的な報告をうけました。そして、特別講演として建築家の安藤忠雄氏から、市民と協力した理想的な街づくりのありかたについての報告があり、今後の鎌倉の街づくりに関しても大変参考になる講演でした。
午後には、札幌市郊外に昨年夏にグランドオープンされ、すでに札幌を代表する新名所として親しまれている、モエレ沼公園に行政視察に赴きました。この公園は、札幌市の大規模な郊外緑地整備事業の一環として造営されたもので、造営前はごみの最終処分場として運用されており、処分場としての機能が終了した後、公園化への動きが始まり、そこに世界的な芸術家・イサムノグチが参加。公園内のデザインを手がけました。園内は、東京ドーム60個分に相当する面積を誇り、公園内にはイサムノグチの手による構造物が設置されています。公園全体がひとつの環境芸術として構築されています。市内は、(バリアフリー化を初めとして)計画的な都市計画の下理想的に整備されていますが、この公園の造成はまさに、札幌市の環境造成事業への取り組みの綿密さを象徴しているように思います。 以上、2泊3日の日程で参加した全国都市問題会議ですが、講演・実地での体験を通して、よりよいまちづくりとは何か、そして鎌倉市としてどういったまちづくりを行っていくべきであるのか、身をもって学んでくることができました。
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